2016年9月18日日曜日
乳がん再発転移ではないのに抗ガン剤を投与する乳がん専門医
乳がんの手術後に、毎年CT検査でがんの転移があるかどうかを検査していた婦人が いました。その婦人が昨年の検査で、肺に影が出現して、乳がんの転移と診断されたの です。乳がんの転移と診断したのは、この方の乳がんを手術した高名な乳腺外科医です。PET検査でも肺の異常陰影が強く光り、乳がんの肺転移であるとして、抗がん剤の点 滴を始めました。私は、この方が痰がよく出るので2年ほとど前から漢方内科で治療していました。彼女は、「先生、乳がんが肺に転移してしまったので、抗がん剤の点滴治療を始めたのです。 抗がん剤で髪が抜けてしまいました」と不安な様子で、1回目の抗がん剤治療の直後に漢方内科に来院しました。 私が、肺のCTを拝見したところ、陰影はどう見ても転移性肺癌の形ではないし、また原発性肺癌の陰影としてもおかしいものでした。彼女は、PETで癌陽性と診断されたということですが、PETで強く光るものには、がん以外にも、結核などの肉芽種があります。 発熱もなく全身症状も良好なのでおそらく非結核性好酸菌症であると思われました。 非結核性好酸菌症も同様に肺に肉芽種を形成します。その場で、かつて大学病院で一緒に仕事をしていた胸部外科の教授に電話し、確定診断のために胸腔鏡下部分切除を依頼しました。結果はやはりがんではなく非結核性好酸菌症であったのです。すぐに、抗がん剤治療を中止させたのは、言うまでもありません。乳がんを手術した外科医はその道のエキスパートです。しかし、肺の陰影を乳がんの転移と診断したのはなぜなのでしょうか。 すわ、乳がんの転移との思い込みだったのでしょうか、また、彼は呼吸器の専門医ではないので肺のCTの読影が未熟だったのでしょうか。 専門医療の分野ではある病気の専門医は他の分野に関しては未熟であることが多いのも事実です。 いずれにせよ、CTもPETも病気の影を見ているにすぎません(誤診も、それだから起きます)。病気そのものを見ているわけではないのです。 乳がんの再発を恐れる医者には枯れ尾花が幽霊にみえたのでしょう。肺の陰影は枯れ尾花です。幽霊を薬でやっつけても枯れ尾花はなんのダメージも受けません。 抗ガン剤で骨髄などの正常な臓器が破壊されるだけです。
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