2016年11月12日土曜日

5年間の精神的ストレスが原因で関節リウマチ

30代の女性が四肢の関節腫脹と痛みで大学病院で関節リウマチと診断され、漢方治療を希望して漢方内科外来に来院した。 詳しく話を聞いてみると、この方は5年前に保険会社で苦情係に配属され、毎日毎日電話で顧客からの苦情を聞き続けてきた。 時には感情的な顧客に怒鳴られたり、攻撃的な言辞などを受け続けてきたため、強い精神的苦痛で不眠症になった。伝統医学的診断でもストレスによる五臓の病態が確認された。 この診断に基づいてストレス性の病態に効果のある漢方処方を作成した。 服用後2ヶ月で四肢の関節の腫れや痛みは消失した。 半年ほど漢方治療を続行したが症状の再発はなく、炎症のマーカーも正常になったので治療を終了した。 関節リウマチは発病後早期に漢方治療を開始した場合は大多数が治癒することを経験する。

抗うつ薬の副作用で統合失調症になった? 精神科医の誤診療!

中年の女性が統合失調症と言うことで漢方治療の為に来院した。 症状は下痢・軟便、被害妄想、不安、不眠、リビドー亢進などであった。 精神科からはリスパダールとソラナックスが処方されていた。病気の経過を聞いたところ、20才の頃に神経症、恐怖症、うつ病などといわれて抗鬱剤や精神安定剤などが処方されていたが、数年後に被害妄想が出現したため統合失調症と診断されリスパダール等の薬物治療が開始された。 <a href="http://okabesystemsmed.com" target="_blank">中国伝統医学による治療を開始したところ、被害妄想や不眠症、リピドー亢進などの多彩な精神神経症状が軽快した。</a> ところがこの間、リスパダールを服用する度に妄想が増悪することに気づいた。 この方はおそらく20才頃から10年間投与されていたSSRIなど抗鬱剤による精神神経の副作用で被害妄想が引き起こされたのであろう。実際、SSRIの副作用としてせん妄,錯乱,幻覚,妄想,けいれんなどが報告されている。更に10年後には精神科医に統合失調症と誤診されてこんどは被害妄想を抑制するためにリスパダールが処方された。 ところが、リスパダールの副作用には妄想、うつ病、幻覚、抑うつ症状、躁病、被害妄想、精神症状、睡眠障害、緊張、自殺企図、錯乱状態、リビドー亢進、徘徊などが報告されている。 不眠、不安、リビドー亢進などの精神神経症状はリスパダールの副作用であったと思われる。 <span style="color:rgb(255,0,0);">この方は抗鬱剤や精神安定剤など精神科の薬によって人為的に統合失調症にされてしまったのであろう。</span>このようなケースは少なくないであろう。 精神科の診療は患者の主観的な訴えに基づく、症状を抑える対症療法でしかない。 骨折やけがの痛みに鎮痛剤を投与しているようなものである。骨折やけがを治しているのではない。不眠症に睡眠薬を処方しているだけで、不眠の原因を治しているのではない。しかも、うつ病や統合失調症は血液検査などでは異常はなく、脳のCTやMRIでも異常はない。例えば、<a href="https://www.amazon.co.jp/病気を治せない医者-現代医学の正体に迫る-光文社新書-岡部-哲郎/dp/4334038409/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1478952447&sr=1-1" target="_blank">うつ病の生物学的原因は不明である。血液検査や生化学検査、ホルモンの検査や脳波や脳のCT,MRI検査では異常ないことを確認してはじめて心の病気である(うつ病)と診断する前提ができる。 検査で異常なしが前提条件である。それではじめて心の病気と診断するわけだが、生物学的診断基準が存在しないのでうつ病の診断はあくまで状態像診断となる。状態像すなわち、抑鬱気分、関心や喜びの喪失、意欲がない、焦燥感などの状態像がそのまま診断になる。したがって実際はうつ病ではなく神経症の場合でも精神科や心療内科で気分がうつであると訴えればほとんど全員に抗うつ剤が即座に処方される。</a> 客観的な診断の根拠は無いのである。精神科医の診断は患者の訴える症状から推理することになる。 患者の表現力や性格、感情の強弱などは個々人で千差万別である。 また、診断する側の精神科医もその性格、感受性、理解力などが医師によって異なる。 したがって、精神病の診断は非常に難しく、誤診が起こりやすい。 人間の心は簡単には診断できないと云う事である。

2016年11月11日金曜日

抗うつ薬SSRI/SNRIの副作用:攻撃性と他害行為

中国伝統医学によるうつ病の治療を行ってきたが、治療のための抗うつ薬の副作用による精神異常が多々認められる。うつ病の治療と同時に抗鬱剤の副作用の治療に難渋する。 最新の抗鬱剤であるSSRI(パキシル ルボックス デプロメール レクサプロ ジェイゾロフト)やSNRIは神経伝達物質の1つであるセロトニンの伝達を促進し、脳の神経細胞を活発に働かせる作用があり、いわば脳を興奮状態にします。脳細胞を活性化させるとうつ状態が改善されますが、アクセルを踏みすぎれば脳が暴走するという副作用が起こる可能性があります。そのため次のような激しい副作用が生じると指摘されています。SSRIの添付文書には、以下のように記載されている。不安、焦燥、興奮、パニック発作、 不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等が現れることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来たした症例において、基礎疾患の悪化または自殺念慮、自殺企図、殺人念慮、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うことが必要だ。 また、SSRIなどの各種の抗うつ剤服用者が起こした殺人事件で「アクチベーション症候群の疑いあり」という見解が出されており、重大な社会問題になっている。1998年にはアメリカの高校で銃乱射事件がありました。銃を乱射した高校生はルボックスを服用していたそうで、この事件をきっかけにアメリカ、カナダにおいてルボックスが一時販売停止になった。日本でも似たような殺人事件が起こっており,その原因はパキシルを筆頭とするSSRIである可能性が示唆されている。厚生労働省は医薬品等安全対策部会において,国内におけるSSRI/SNRIに関連する副作用報告を精査した(「医薬品・医療機器等安全性情報No.258(平成21年6月)」参照) 。 其の結果、解析対象症例の男性患者110例中23例が他害行為あり 、殺人等の傷害の症例であり,例えば,刃物で切る, 家族・他患者に対する暴力行為といった経過 情報が記載された症例であった。 36例が他害行為あり 殺意等の傷害につながる可能性のある症例であり,例えば、暴言を吐く, カッとしやすくなると いった経過情報が記載された症例であった。 

2016年10月30日日曜日

特発性膝骨壊死は漢方薬による治療でなおる

数年前、70代の老婦人が膝の激痛で歩くことも座ることもできないため、整形外科でMRIをとった。その結果、脛骨骨壊死と診断され手術を勧められた。壊死の範囲が狭い場合は、自然治癒することもありますが、多くの場合、骨切り術や人工膝関節単顆置換術といった手術が必要になります。この方は以前に漢方薬を服用したことがあり、是非漢方薬で治療したいと来院した。 伝統医学に基づいて詳細に診察したところ、この方は内臓、特に胃腸や骨格の水分が不足しており、その結果、内臓への血流が著しく少なくなっていた。 内臓に潤いを与え、血流を良くする生薬を中心に24種類を処方して煎じて飲んでもらった。 1ヶ月後には痛みはかなり軽くなった。 さらに2ヶ月後には痛みは疲れたとき感じるだけで、日常的には消失した。更に3ヶ月煎じ薬を処方し、痛みが無くなったことを確認して治療を終了した。その後2年たつが再発の兆候はない。特発性膝骨壊死は西洋医学では手術する以外には治療法はなく、治りにくい病気であるが、漢方医学的見地からすると治療はそれほど難しくはない病気である。西洋医学の難病は漢方医学にとっては必ずしも難病でないことが多々ある。 

サルコイドーシスの漢方治療(Herbal therapy for sarcoidosis)

サルコイドーシス(sarcoidosis)は、肺、リンパ節、皮膚、眼、心臓、筋肉など全身諸臓器に肉芽種ができる難病で、原因不明の現在は根治療法はない。臓器障害が重症の場合や生命に関わる症例(中枢神経病変、心病変等、腎病変))に限ってステロイド治療が現在行われている。しかし長期間のステロイド服用は副作用が強くてできないので効果があった時点で減量・中止する必要があるが、ステロイドの減量で再発する場合も多く治療に難渋する。 最近、全身倦怠感、空咳、微熱、下肢に力が入らないなどの症状と共に、霧視、飛蚊症、眼圧上昇などサルコイドーシスによるブドウ膜炎の症状で、中年の女性が漢方治療を希望して漢方内科外来に来院した。 サルコイドーシスの肉芽種のマーカーである血清ACEは非常に高い。詳細な伝統医学的鑑別診断を行い、それに基づいて25種類の植物性及び動物性生薬を組み合わせた処方を作成した。この処方を服用してから1ヶ月後には血清ACEが低下し、2ヶ月後には微熱や空咳なども消失した。3ヶ月後には下肢に力が入らない、全身倦怠感など自覚症状も消失し、眼圧も低下し、ぶどう膜炎も軽快していた。話は違うが原因がサルコイドーシス以外の場合の緑内障による眼圧上昇にも漢方治療が有効である場合が多い。サルコイドーシスが治癒するか否かは更に治療を継続して今後の経過を観察する必要があるが、少なくともステロイド治療以外にサルコイドーシスの治療法があることが明らかになった。 

うつ病は漢方薬で完治する!(Successful treatment for depression)

一昨年の秋に50代の婦人がうつ病と診断された。朝は憂鬱で起きれない、不安で悲しくて気分が落ち込み行動の抑制がある。 典型的なうつ病であった。伝統医学的診断では五臓六腑の中でも心、胃腸、神経の機能障害が認められた。 この病態に対して17種類の生薬を組み合わせた処方を作成した。此の処方を服用して一ヶ月で朝の憂鬱、不安、悲哀感などほとんどの症状が消失した。更に2ヶ月ほど同じ処方を継続したところほかの症状も改善したためうつ病は治癒したとして漢方治療は終了とした。この方は心療内科や精神科にかからずに最初から漢方治療を受けた。西洋医学の抗鬱剤や精神安定剤や抗不安剤などは服用していなかったので漢方療法で早期に治癒できた。実は数年前に此の人と対照的な二人の30代の男女がうつ病の治療を求めて漢方外来に来院した。二人とも5年以上の長期間、精神科や心療内科で抗鬱剤、精神安定剤、抗不安剤、睡眠薬などを5〜6種類も処方されていた。しかし、治療を続けても薬の量が増える一方で、一向にうつ病は治らないため社会復帰ができない。此の二人の伝統医学的診断は病理学的に正反対の病態であった。したがって、治療生薬の内容も真逆の作用の処方であった。診断に基づいて25〜30種類の生薬を配合した処方を作成した。此の二人の治療は効果が現れるまで5〜6ヶ月かかったが一番苦労したのは精神科の薬をやめる事であった。 漢方処方が効いてくると早朝に頭痛が起きるようになる。此の頭痛は実は抗鬱剤の副作用であった。抗鬱剤をやめると頭痛は無くなった。また、安定剤や睡眠薬をやめるのが最も難しい。 睡眠薬の量を90%、80% 70%と数か月間かかって一ヶ月に10%ずつ減量してゆく必要があった。 一気に減量するとその夜は一睡も出来なくなる。 これは麻薬の禁断症状のようなものである。精神科の薬を減量してやめるのに更に一年近くかかってしまったが、その後は漢方薬も含めてすべての薬を止めたが再発しないので、治療は終了した。今は、二人とも社会復帰している。このように伝統医学では、うつ病は精神や心の病気ではなく五臓六腑の病気であり対応する漢方薬で治癒することが可能である。ただし、発病早期に漢方治療することができれば早く治るが、抗鬱剤や精神安定剤で長期間治療した後では漢方治療が奏功するまでに長期間かかってしまう。しかし、漢方治療が有効であるといっても、いわゆる漢方薬のooo湯でうつ病が治るということではない。ある人は漢方医のところで、oo湯とoo丸を処方されたが効果がはっきりしないと言ってきたが、理由は個々人で異なるシステム異常に対応した生薬を組み合わせたカスタムメイドの処法を作成することで初めて有効な治療になると言うことであり、既成の漢方方剤では効果は期待できない。実際、伝統医学のシステム理論と生薬の高度な知識が無ければ、診断もできないし、有効な治療する生薬の処方を作成するすることもできない。 

同じ漢方薬がてんかんにも骨髄異形症候群にも緑内障にも、脊髄小脳変性症にも糖尿病にも効く?

最近、骨髄異形成症候群の方を治療中に、当方のクリニックでは、いろんな厚生省指定の難病を漢方薬で治療しているが、そんなことが可能なのか疑問ですと言われた。血液の専門医が神経の病気や緑内障など眼科の病気を治療できるのか?  実は、西洋医学の病名は漢方医学には存在しない。いろんな難病が漢方医学では同じ証(漢方医学の病名)である場合がある。 同じく、漢方医学の病名は西洋医学の病気とは異なる。 従って、ある人が骨髄異形成症候群であった場合、漢方医学で診断すると糖尿病の他の人と同じ病気である場合がある。 その場合、骨髄異型症症候群の治療と糖尿病の治療は同じ処方になる。このように、漢方医学では同じ処方が糖尿病、緑内障、脊髄小脳変性症、筋ジストロフィー、など色々な難病の治療に使われる事がある(異病同治)。また、西洋医学で同じ緑内障と診断されても人によって漢方医学の病名は違う。 緑内障各人の漢方医学の病名は異なるので各々に対応する処方で治療する(同病異治)。 最初の質問のに対して以下の用に回答した。「当クリニックでは厚生省指定の多くの難病は漢方医学で診断し漢方医学の病名をつけるので、西洋医学の病名ではなく、漢方医学の病名に基づいて漢方薬の処方で治療することが可能である。」 漢方専門医は血液の病気も糖尿病も神経の病気も緑内障も漢方医学では五臓六腑の病気であると診断するので治療することができる。

2016年10月19日水曜日

糖尿病性網膜症の漢方生薬による治療法

糖尿病網膜症は、糖尿病腎症・神経症とともに糖尿病の3大合併症のひとつで、成人の失明原因の第二位となっています。ちなみに中途失明の原因の第一位は緑内障です。網膜には栄養を補給する多くの血管が走行しています。血糖が高い状態が長く続くと、網膜の細い血管は少しずつ損傷を受け、変形したりつまったりします。血管がつまると網膜のすみずみまで酸素が行き渡らなくなり、網膜が酸欠状態に陥り、その結果として新しい血管(新生血管)を生やして酸素不足を補おうとします。しかし、この新生血管はもろいために容易に出血を起こします。また、出血すると網膜にかさぶたのような膜(増殖組織)が張ってきて、これが原因で網膜剥離を起こすことがあります。これらが進行していくと、最悪、失明します。
網膜症は糖尿病発症から5年くらいで増加し始め、10年で50%の人が網膜症を発症します。 しかも、自覚症状があった時にはすでに取り返しがつかなくなった増殖網膜症の段階であることが多いのです。
網膜症の治療ですが、検査で網膜症が見つかったからといって、急激な血糖コントロール(今流行している炭水化物ダイエットなどで食事のカロリーを大幅に減らしたり、運動量、糖尿病の薬の量を倍に増やすなど)はかえって網膜症を悪化させます。理由は炭水化物が分解された糖質は脳や網膜の唯一の栄養素であり、糖質が少ないと脳や神経や網膜などがが正常に働くことができないからです。

2016年10月9日日曜日

関節リウマチと間質性肺炎の漢方生薬に治療法

10年ほど前に某医科大学の呼吸器科で特発性間質性肺炎と診断された50代の女性が来院した。 特発性間質性肺炎は原因不明の難病で治療法はない。肺が硬くなって呼吸ができなくなる病気で、歌手の美空ひばりさんがこの病気が原因で亡くなっている。2〜3種類の漢方処方を組み合わせて治療したところ、肺組織破壊のマーカーが徐徐に低下してきたが正常値にはならない。ところが、2年前に手足の関節痛が出現し、精密検査の結果、関節リウマチと診断された。厳密な伝統医学的診断に基づいて抗リウマチ作用のある生薬を含む約20種類の煎じ薬を処方したところ関節痛は消失し、炎症反応も正常になり、しかも肺組織破壊のマーカーも正常値以下になった。現在も生薬治療を続けているが、関節痛もなく、炎症反応も正常化したままで、リウマチ反応も正常値以下となった。 肺組織破壊のマーカーも正常値以下のままである。 あと、数ヶ月様子を見て悪化しない場合は治癒したと考えて生薬治療も終了する予定である。 この方の間質性肺炎は関節リウマチによるものであり原因不明の特発性間質性肺炎ではなっかたのである。 このように、肺病変が関節リウマチに先行して発症する場合も少なからず存在する。 関節リウマチの漢方薬による治療成績は良好であり、約80%の奏功率との報告もある。 しかし、漢方治療が有効であるといっても、いわゆる漢方薬のooo湯で関節リウマチが治るということではない。ある人は漢方医のところで、oo湯とoo丸を処方されたが効果がはっきりしないと言ってきたが、理由は個々人で異なるシステム異常に対応した生薬を組み合わせたカスタムメイドの処法を作成することで初めて有効な治療になると言うことであり、既成の漢方方剤では効果は期待できない。実際、伝統医学のシステム理論と生薬の高度な知識が無ければ、診断もできないし、有効な治療する生薬の処方を作成するすることもできない。

シェーグレン症候群は漢方生薬治療で治す

中年の女性が涙がでなく目が乾燥するため某大学病院で診療を受けた結果シェーグレン症候群と診断された。唾液が少なく口が渇く、涙が少なくて目が乾燥するなど全身の乾燥症状がひどいため漢方治療を希望して来院した。症状は口渇、朝のこわばり(手指)、膝痛、顔の火照り、右上眼瞼の痙攣、自汗、便秘、痰が多いなど。唾液腺シンチグラム、 唾液量検査、 涙量検査にてシェーグレン症候群と診断された。その他の検査所見ではリュウマチ反応 陽性、抗核抗体 陽性であった。 伝統医学の診断では肺の乾燥と熱及び神経系の興奮であったので対応する22種類の生薬を煎じて服用することとした。1ヶ月後に口渇、手のこわばり、便秘、痰は改善、3ヶ月後に眼瞼痙攣消失。 4ヶ月後には乾燥症状は消失したため治療は終了とした。シェーグレン症候群膠原病の一種でドライアイ、ドライマウスなどの乾燥症状ばかりでなく関節痛や皮膚症状、慢性甲状腺炎(橋本病)、慢性胃炎など種々の臓器の異常を伴う。ドライアイなどの乾燥症状には人工涙などの対症療法しかない。内臓の病気を伴う場合はステロイドホルモン治療などを行う。伝統医学ではこれらの症状に対して個々人の病態を分析し、それに対応する有効な治療法がいくつも考案されている。 ほとんどの場合数ヶ月で症状の軽快が見られる。 

てんかんの大発作が伝統医学による漢方生薬で治る

以前に拙著「病気を治せない医者」やブログでてんかんは漢方治療で治るということを書いたところ、では大発作を繰り返すようてんかんでも治りますかとの質問があった。2014年1月に25才の女性が10年前からてんかんの大発作(意識消失、痙攣)を繰り返すということで、漢方内科に来院した。10年前の発病当初は専門医にテグレトール、デパケンなどを処方されたが、副作用が強くでたので直ちに中止となった。 それ以降薬物治療は行っておらず10年にわたって意識消失と間代性痙攣を伴う大発作をくりかえして起こしていた。伝統医学的診断にもとづいて、26種類の生薬処方を作成した。2015年6月まで1年6ヶ月間にわたる治療により伝統医学的病態は正常化したため、治療は終了とした。 この間、てんかん発作は起きていない。 また、2016年2月現在まで(伝統医学による治療開始より2年間)てんかん発作は全く起きていない。治療終了後、この方はめでたく結婚した。

多系統萎縮症(脊髄小脳変性症)は胃腸の薬、高血圧の薬や鎮痛剤など様々な薬剤で悪化する。

ここ十年にわたって脊髄小脳変性症の治療を行ってきたが、伝統医学の治療によりせっかく症状の改善が見られたのに、 内科や整形外科、心療内科で胃腸薬、高血圧の薬や鎮痛剤、抗精神病薬などを処方されて症状が悪化してしまうケースが少なくなく困っている。 脊髄小脳変性症の中でも特にパーキンソン症候群を引き起こす多系統萎縮症の場合、錐体外路症状の悪化が甚だしく、薬をやめてもなかなか回復しない。この病気は薬剤性パーキンソン症候群とよばれる。これらの薬物がパーキンソン症候群を引き起こすメカニズムは当該薬物が ドーパミンを遮断する為、多系統萎縮症でみられるパーキンソン症候群を悪化させるということである。抗精神病薬ではセレネース(ハロペリドール)、コントミン(クロールプロマジン) 、ヒルナミン(レボメプロマジン)、 フルデカシンやフルメジン(フルフェナジン)、トリラホンやピーゼットシー(ペルフェナジン)などは、ドーパミン遮断作用が強力で、薬剤性パーキンソン症候群を生じやすい。ジプレキサ(オランザピン)、リスパダール(リスペリドン)、セロクエル(クエチアピン)も同様である。胃腸薬であるとともに抗鬱剤でもあるドグマチール、アビリット、ミラドールなども錐体外路症状を起こす。抗鬱剤トフラニール(イミプラミン)、トリプタノール(アミトリプチリン)、アモキサン(アモキサピン)、ルジオミール、マプロミール、ノイオミールなど(マプロチリン)、テトラミド(ミアンセリン)、パキシル(パロキセチン)、ルボックス、デプロメール(フルボキサミン)、トレドミン(ミルナシプラン)、サインバルタ(デユロキセチン)なども同様に錐体外路症状を引き起こす。抗精神病薬以外にも、消化管蠕動促進薬であるナウゼリン(ドンペリドン)やプリンペラン、プラミール(メトクロプラミド)、胃酸分泌抑制薬であるガスター(ファモチジン)やザンタック(ラニチジン)などの抗ヒスタミンH2受容体阻害剤、サンディミュン(シクロスポリン)、リューマトレックス(メトトレキセート)などの免疫抑制薬、インターフェロンα、一部の抗生物質、リーマス(炭酸リチウム)でも同様の症状が生じることが知られています。アポプロン、ベハイド(レセルピン)は中枢性血圧降下薬であるがパーキンソン症候群を起こしやすい。頻度は少ないが血圧降下剤ではアルドメット(メチルドーパ)、アダラート(ニフェジピン)、ヘルベッサー(ジルチアゼム)、カルスロット(マニジピン)、ノルバスク、アムロジン(アムロジピン)なども報告されている。抗不整脈薬ワソラン(ベラパミール)、アスペノン(アプリンジン)、アンカロン(アミオダロン)でも同様の報告がある。 また、麻薬性鎮痛剤 トラマール(トラマドール)や、最近、整形外科などでよく処方されるリリカ(ブレガバリン)という鎮痛剤もふらつきやめまいが頻繁に起きます。 これらは薬剤性パーキンンソン症候群と呼ばれており、脊髄小脳変性症の場合は服用は厳禁です。 服用後数日から数週間で発症することが多く、パーキンソン病よりも進行が早い。パーキンソン病と異なり左右対称性に症状が発現する傾向があり女性・高齢者で起こりやすい。 

2016年10月2日日曜日

シャイ・ドレーガー症候群(Shy-Drager syndrome:SDS)の伝統医学による治療効果

シャイ・ドレーガー症候群(Shy-Drager syndrome:SDS)は、自律神経症状を主要症状とする多系統萎縮症(脊髄小脳変性症)の中の一病型です。 1年ほど前、中年の男性が立ちくらみ、起立性低血圧、無汗、頻尿など自律神経の症状が見られた。 筋固縮などパーキンソン症候群の症状は見られたが、ふらつきや歩行障害などの小脳の症状は認められなかった。 詳細な伝統医学的診断を行い、22種類の生薬処方を作成した。 治療前は上段の図のように、座位から起立してから3分後の血圧が著しく低下する事が分かる。 下段の図は治療後の起立後3分の血圧の低下が軽快していることを示している。処方生薬を服用1ヶ月後にはめまいや起立性低血圧も軽快した。3ヶ月後には頻尿も無くなった。我々の経験ではシャイ・ドレーガー症候群は伝統医学的治療が奏功する場合が多い。 


2016年9月26日月曜日

Successful treatment of spondylolisthesis with medicinal herbs


It has been reported that some herbal medicines may be effective for acute episodes of chronic nonspecific lower back pain. Spondylolisthesis is one of the causes of lower back or neck pain. To our knowledge, successful treatment of symptomatic spondylolisthesis with medicinal herbs has not been previously reported in the published work. A 63-year-old female had suffered from back pain for 4 years. Radiographs revealed spondylolisthesis at the L3 level. In another case, an 82-year-old female suffered from neck pain. X-ray examinations revealed cervical spondylolisthesis at the C4 level. Several herbs were administered to these patients with symptomatic spondylolisthesis according to the guidelines for herbal medicine. Significant improvements in pain were obtained within 4 weeks in both patients. The pain completely disappeared after 20 weeks (case 1) and 6 weeks (case 2) of treatment. Although surgical treatment is often performed for symptomatic spondylolisthesis, the findings of the present cases imply the therapeutic potential of herbal medicine in selected patients.
 2008 Jun;8(2):126-9.

Treatment of myelodysplastic syndromes with recombinant human granulocyte colony-stimulating factor: a preliminary report

PURPOSE: 

The expansion of an abnormal hemopoietic stem cell line is responsible for the myelodysplastic syndromes, which are characterized by pancytopenias, often resulting in lethal infections. Cloned granulocyte colony-stimulating factor (G-CSF) was recently shown to enhance the growth and differentiation of normal granulocyte progenitor cells in vitro. The aim of our study was to examine the effects of recombinant human G-CSF in patients with myelodysplastic syndromes.

PATIENTS AND METHODS: 

Four patients with myelodysplastic syndromes and one patient with smoldering acute myelogenous leukemia following the occurrence of a myelodysplastic syndrome received recombinant human G-CSF by intravenous infusion for six days. Patients received different dosage levels (50 to 1,600 micrograms/m2).

RESULTS: 

A response was seen in all patients, with an increase in both immature myeloid cells in the bone marrow and mature granulocytes in the peripheral blood. The dose levels that could stimulate granulocytopoiesis differed among patients.

CONCLUSION: 

These results suggest that, at least in some cases of myelodysplastic syndromes, granulocytopenia can be improved by G-CSF, although it still remains to be determined whether the increase in the number of granulocytes is due to the differentiation and maturation of the myelodysplastic clone or restoration of a residual normal clone.
Am J Med. 1989 Feb;86(2):178-82https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2464280

Radioimmunotherapy of transplanted small cell lung cancer with 131I-labelled monoclonal antibody

Monoclonal antibody TFS-4 has previously been shown to react selectively with human small cell lung cancer (SCLC). We evaluated the use of 131I-labelled TFS-4 for the treatment of established human SCLC transplanted in nude mice. The specific accumulation of the antibody in the transplanted tumour was recorded by both scintigraphic and biodistribution studies. Administration of 200 microCi 131I-labelled TFS-4 inhibited tumour growth when compared with the same radiation dose of the control monoclonal antibody. The therapeutic effect was dose-dependent and complete disappearance of the tumour was observed transiently in one out of the three animals following the administration of 500 microCi 131I-labelled TFS-4.


2016年9月25日日曜日

視神経脊髄炎と多発性硬化症の伝統医学による治療法の違い

大学病院に勤務している頃より数名の視神経脊髄炎の伝統医学による生薬治療を行い、視力障害や視野狭窄の改善を経験したが、最近、4名の視神経脊髄炎の女性に伝統医学による生薬治療を行った。その経験から、この病気の原因や病態がおぼろげながら見えてきた。この病気は女性が男性より多い。抗 AQP4 抗体陽性視神経脊髄炎は一般的に視機能障害が重篤で再発しやすく治療抵抗性であり後遺症が残存しやすく視力予後は不良である。病理学的には視神経脊髄炎の原因物質は抗 AQP4 抗体であり、多発性硬化症とは異なり抗原抗体コンプレックスによるアストロサイト細胞の障害とそれに引き続く視神経や脊髄の急性炎症がその本態である。伝統医学的病態診断では、この病気の病因はいくつかあるが、直接的には第一に肝経湿熱であると考えられている。従って、治療戦略の第一弾は清利肝胆湿熱法である。肝経湿熱に引き続き営血の毀損が引き起こされ、血流障害により視神経や脊髄の傷害が広範囲に及ぶため強い視力障害、失明、横断的脊髄傷害などが引き起こされる。これに対して治療戦略の第二弾としては清営涼血・養陰活血法が必要であった。 これはTリンパ球による神経髄鞘の傷害(脱髄)が引き起こす多発性硬化症とは病理学的に異なるわれわれの治療経験では多発性硬化症とは伝統医学的病態診断も治療戦略も全く違っていた。 視神経脊髄炎も多発性硬化症も自己免疫疾患であるが、免疫異常それ自体は病気を引き起こす必要条件ではあるが十分条件ではない。 免疫異常が存在しても実際に発病するにはいくつかの条件が必要である。 実際に発病するには、五臓六腑の異常な病態の存在が必要である。 五臓六腑の病態を診断して適切な生薬処方を服用すればこれらの病気の治療が可能であり、再発を防止できる。 

骨髄異形性症候群(MDS)の伝統医学による治療

一昨年、大学病院からの紹介で骨髄異形成症候群(Myelodysplatic synndrome,MDS)の50代の男性が漢方生薬治療を受けたいと来院した。血液検査ではヘモグロビンが5〜6g/dlと重度の貧血があり、白血球数も2000以下に低下していた。 骨髄検査では染色体異常が認められた。貧血のため軽い動作でも息切れがして呼吸が苦しくなる。大学病院の血液科の主治医より定期的に輸血するしかないでしょうと言われていた。骨髄異形成症候群は骨髄の造血幹細胞に遺伝子異常を来した異常クローンが出現し、この異常クローンが骨髄を占拠する結果として骨髄は過形成になるが、遺伝子異常を来したクローンはアポトーシスが亢進しているため増殖できずに寿命が短く分化の途中で死んでしまう。そのため末梢血の赤血球や白血球、血小板が減少し貧血、白血球減少、血小板減少を来す。 原因不明なので、白血球減少にはG−CSF、貧血には輸血やエリスロポエチン投与などの対症療法しか治療法はない。この異常クローンにさらなる遺伝子異常が起きると急性白血病になってしまう。骨髄異形成症候群は其の意味で前白血病状態と云われている。我々はかつて4半世紀ほど前にG−CSFの開発に携わっていた時に骨髄異形成症候群(MDS)の骨髄幹細胞が成熟好中球にまでG−CSFによって分化誘導されることをAmerican Journal of Medicineに報告した。 しかし、MDSの成熟好中球の細菌を殺す能力は正常人の好中球に比べて10%程度に低下していた。 その結果、MDSの患者は肺炎などの感染症を頻繁に発症する生薬治療のメニューを決めるために、まずこの患者さんの中国伝統医学による詳細な診断をおこなった。この方はおそらく以前に前立腺癌のホルモン治療を行ったためであろうと思われるアナボリズムの低下を含む多彩な病態の存在が確認された。診断結果に基づいて28種類の動物性及び植物性の生薬をブレンドした処方を作り上げた。 この処方を3ヶ月間投与したところ、白血球数が一時的に上昇したが、ヘモグロビンはほとんど変化しなかった。そこで、ヘモグロビンを合成するための材料となる生薬を追加処方したところ、一ヶ月後にはヘモグロビンが8g〜/dlになり3ヶ月後には10g〜/dlを超えるようになった。 同時に白血球数も4000〜5000と正常値に回復した。 貧血が改善した結果自覚症状の息切れもなくなり元気を回復した。 

Successful treatment of essential hypertension with medicinal herbs

Vast number of physiological factors participate in normal tissue perfusion to control arterial blood pressure (mosaic theory).
The therapeutic efficacy of the systems medicine, using medicinal herbs was evaluated in 10 patients with essential hypertension. Medicinal herbs were administered to 10 patients with essential hypertension according to differential diagnosis by systems review based on the guideline of traditional herbal medicine. Arterial blood pressure was measured after 14 and 28 days of the herb administration. Each patient with arterial hypertension showed functional abnormalities in multiple systems. The patients with multiple affected systems were treated by the multiple recipes which were expected to be effective against each of these abnormal systems. After 4 weeks of the treatment, the mean systolic blood pressure of the 10 patients decreased from 171.6 ±15.8mmHg to 127.0±7.3 mmHg. The mean diastolic blood pressure also decreased from 99.±12.6 mmHg to 78.3 ±7.4mmHg.  The lowered blood pressure was maintained even after 3 months of the treatment. The result implies a therapeutic potential of systems medicine with traditional medicinal herbs for essential hypertension. 

2016年9月18日日曜日

乳がん再発転移ではないのに抗ガン剤を投与する乳がん専門医  


乳がんの手術後に、毎年CT検査でがんの転移があるかどうかを検査していた婦人が いました。その婦人が昨年の検査で、肺に影が出現して、乳がんの転移と診断されたの です。乳がんの転移と診断したのは、この方の乳がんを手術した高名な乳腺外科医です。PET検査でも肺の異常陰影が強く光り、乳がんの肺転移であるとして、抗がん剤の点 滴を始めました。私は、この方が痰がよく出るので2年ほとど前から漢方内科で治療していました。彼女は、「先生、乳がんが肺に転移してしまったので、抗がん剤の点滴治療を始めたのです。 抗がん剤で髪が抜けてしまいました」と不安な様子で、1回目の抗がん剤治療の直後に漢方内科に来院しました。 私が、肺のCTを拝見したところ、陰影はどう見ても転移性肺癌の形ではないし、また原発性肺癌の陰影としてもおかしいものでした。彼女は、PETで癌陽性と診断されたということですが、PETで強く光るものには、がん以外にも、結核などの肉芽種があります。 発熱もなく全身症状も良好なのでおそらく非結核性好酸菌症であると思われました。 非結核性好酸菌症も同様に肺に肉芽種を形成します。その場で、かつて大学病院で一緒に仕事をしていた胸部外科の教授に電話し、確定診断のために胸腔鏡下部分切除を依頼しました。結果はやはりがんではなく非結核性好酸菌症であったのです。すぐに、抗がん剤治療を中止させたのは、言うまでもありません。乳がんを手術した外科医はその道のエキスパートです。しかし、肺の陰影を乳がんの転移と診断したのはなぜなのでしょうか。 すわ、乳がんの転移との思い込みだったのでしょうか、また、彼は呼吸器の専門医ではないので肺のCTの読影が未熟だったのでしょうか。 専門医療の分野ではある病気の専門医は他の分野に関しては未熟であることが多いのも事実です。 いずれにせよ、CTもPETも病気の影を見ているにすぎません(誤診も、それだから起きます)。病気そのものを見ているわけではないのです。 乳がんの再発を恐れる医者には枯れ尾花が幽霊にみえたのでしょう。肺の陰影は枯れ尾花です。幽霊を薬でやっつけても枯れ尾花はなんのダメージも受けません。 抗ガン剤で骨髄などの正常な臓器が破壊されるだけです。 

Systems therapy with medicinal herbs may cure bronchial asthma

 Inhaled glucocorticoids have become the mainstay of asthma therapy. Unfortunately, a small fraction of asthmatics are steroid resistant and do not benefit from standard treatment. The trial was performed to test the therapeutic effect of medicinal herbs for patitnts with bronchial asthma that could not be controlled by treatment with regular inhaled glucocorticoids.  Differential diagnosis was made by systems review of functional abnormalities on 13 patients with bronchial asthma which was resistant to regular inhaled glucocorticoids. Abnormal systems in each patient were treated with medicinal herbs based on the guideline of traditional herbal medicine according to the differential diagnosis. Symptom-free periods after the herb administration were evaluated. All 13 patients were successfully treated and inducted into clinical remission with symptom-free periods of 15-60 months. 11 of 13 patients were inducted into attack-free remission within a month.


Successful treatment of spinocerebellar ataxia 6 with medicinal herbs


Spinocerebellar ataxia 6 (SCA6) is an autosomal dominant cerebellar ataxia associated with small polyglutamine-dependent expansions in the alpha 1A-voltage calcium channel. At present, we have no effective therapeutic tools. We report here 8 cases of spinocerebellar ataxia 6(SCA6)with typical symptoms. Genetic tests revealed expanded allele of 22~25 CAG repeats at the spinocerebellar ataxia type 6 locus. Head MRI revealed a typical atrophic image in cerebellum.  For the systems therapy with medicinal herbs, the differential diagnosis by traditional herbal medicine was made according to the guideline. Mixtures of 18~26 medicinal herbs were given according to the differential diagnosis in each patient. The remedies used for the cases consist of several different ingredients, which have well-established histories of use for treatment of vertigo, tremor, or ataxia and are expected to exert their specific effects. In 11 of 16 patients, ataxia of gait and stance was significantly improved in 30~ 60 days of the herbal treatment. 34~85% reductuion were obtained on the 100-point semiquantitative International Cooperative Ataxia Rating Scales (ICARS) scores. The results imply the therapeutic potential of herbal medicine for spinocerebellar ataxia 6. Further extensive investigations are required to clarify the mechanisms by which the remission induction of this genetic disease of CAG repeat expansion mutation has been attained with the medicinal herbs. http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1447-0594.2007.00378.x/abstract

2016年9月17日土曜日

Successful treatment of glaucoma with medicinal herbs

The clinical trial was performed to test the therapeutic effect of medicinal herbs for patients with open-angle glaucoma. Nine patients (33-65 yr old) were diagnosed as open-angle glaucoma with normal intraocular pressure (8-16mmHg). They were treated with a mixture of 23-28 medicinal herbs based on the guideline of traditional herbal medicine according to the differential diagnosis. Visual field test (Humphrey Field Analyzer) was used to evaluate the effectiveness of the herbal therapy. Intraocular pressure was not decreased with the herbal therapy. However, visual field test demonstrated that MD (mean deviation) was improved after 4-10 months of the herbal therapy in all the patients. Visual field index (VFI) was also increased after the herbal therapy.

European Journal of Neurology, 23 (Suppl.),718 http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ene.13094/epdf
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乳児の先天性緑内障を治す

先天的緑内障(早発型発達緑内障)は、前房隅角に生まれつきの形成異常があるために、前房水を静脈へ排水する機能が低下し眼圧が上昇する。早発型発達緑内障は、薬物治療の効果が低いため、早急に手術を行う必要がある。一般に、線維柱帯切開術、もしくは隅角切開術という手術を行う。  最近、前房形成不全による先天性緑内障と診断された生後7ヶ月の乳児が漢方内科に来院した。病名のように緑色の眼をした元気な男の子である。 眼科の薬物治療にもかかわらず眼圧は40mmHg(正常平均は15mmHg)まで上昇したため手術をする必要があった。 言葉を話せない乳児の伝統医学診断は非常に難しい。 時間をかけて詳細に診察した結果この赤ちゃんの伝統医学的病態診断を確定した。この診断に基づいて23種類の動植物薬を組み合わせた複雑な煎じ薬を作成した。 此の治療が成功するための最大の課題はこの赤ちゃんが苦い煎じ薬を飲んでくれるかどうかであった。  一ヶ月後、父親に抱かれて診察室にはいってきた赤ちゃんはにこにこ顔であった。 なんと此の子は苦い煎じ薬を一ヶ月間苦もなく飲んでしまった。一ヶ月間の煎じ薬の治療で眼圧は20mmHgまで低下していた。  此れに意を強くし更に2種類の眼圧降下作用のある生薬を処方に追加した。 この煎じ薬も此の赤ちゃんは苦もなく一ヶ月間で飲み終えてしまった。 にこにこして再診に現れた赤ちゃんの一ヶ月後の眼圧は16mmHgまで低下した。 父親に抱かれた赤ちゃんは帰り際にはバイバイと手を振って診察室を去っていった。これで此の赤ちゃんは眼科の手術を回避することができた。 
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緑内障は手術では治らない

緑内障の確実な原因はわかっていない。緑内障は視神経が破壊されてゆく病気である。視神経がなんらかの原因で障害され、神経線維が徐々に減っていく。約100万本の神経線維の束から徐々に線維が減っていくため、視野のうち、減った線維が担当していた部分が見えなくなる。視野検査を複数回するとMD値が1年にどのくらい悪化しているか(=MDslope)がわかってきます。「いつ頃生活が不便になり始めて、いつ頃失明してしまうか」を推測することが出来る。例えば、40歳で、現在のMD値は-5dBと初期の緑内障の場合、自覚症状は全くありませんが、MDslopeが(一年に)-1dBとかなり進行すれば、このままの状態で病気が進行すると仮定すると、50歳で日常生活が不便になり始め65歳で緑内障により失明してしまうことになる。 このような場合に伝統医学の生薬治療を行う事で、MDslopeは上昇に転換します。 すなわち、進行を食い止めると言う意味では緑内障は治ると言えます。視神経は脳神経の一つで、一度障害されると回復しません。眼圧が高い状態が続くと、目の奥の視神経が障害され緑内障となります。眼圧は10~20mmHgが正常範囲とされていますので、20mmHgを大きく超えるような眼圧が続くと、視神経が障害される可能性が高くなる。正常眼圧緑内障日本人に特に多く緑内障の約70%を占める。一方、米国では正常眼圧緑内障は約20%であり、80%は眼圧が21mmHg以上の高眼圧緑内障である。 そのため米国では緑内障の治療法は手術で眼圧を下げることである。しかるに、正常眼圧緑内障は眼球や高眼圧と言うよりも視神経の病気であり、視神経を治療すれば進行を止められる。すなわち正常眼圧緑内障(眼圧が10~20mmHg)は眼科手術で眼圧を下げても治らない言うことになる。ところが、眼科に通院すると眼圧が正常であっても更に眼圧を下げるべく手術を奨められる。眼科医が正常眼圧緑内障に対し更に眼圧を下げる手術を行おうとする根拠は以下の論文による。米国での多施設共同研究の結果では無治療時眼圧から30% 以上の眼圧下降を得られた群と無治療群では視野障害進行に有意の差があり, 眼圧下降が有効であることが報告されている。また,無治療時の眼圧が正常平均15mmH以下の例に対する眼圧下降の有効性については十分な検討がされていない.  実は、米国のこの研究では最高眼圧が21mmHg以上の緑内障も含まれており、日本人の正常眼圧緑内障と同じ患者が対象ではない。日本人の正常眼圧緑内障の平均眼圧は最高眼圧で16.6~16.7mmHg, 最低眼圧が11.5~11.6mmHgである。したがって、日本人より高い眼圧レベルで試験された眼圧下降療法の有効性を日本人の正常眼圧緑内障治療に適用することは議論の余地がある。 しかも、この米国での実験では十分な眼圧下降を行っても20%の症例で視野障害が進行し、無治療の症例でも約40%の症例に視野障害が進行しなかった。このことから、米国のこの論文では正常眼圧緑内障の原因には眼圧以外の危険因子の存在に言及している。更に言えば、米国の正常眼圧緑内障は60才以上の高齢者に多いことが分かっている。日本人の正常眼圧緑内障とは年齢分布がことなる。これは、米国の正常眼圧緑内障は日本人のそれとは違う病気であることを示唆している。眼科医が米国での眼圧効果療法の報告に基づいて日本人の患者に手術などの治療を強行してよいのであろうか?実際には、正常な眼圧をさらに下げても緑内障が治るわけではない。そのことは眼科医自身がよく知っているはずである。 実際、筆者の外来には緑内障専門の眼科医が自身が緑内障を患い、漢方生薬による治療を求めて通院している。正常眼圧緑内障の原因は眼圧ではない。 視神経が破壊される原因は「視神経が弱い」、「血流減少」、「視神経の栄養不足」,「視神経細胞の代謝低下」、「視神経毒」、「免疫異常」などいろいろ考えられている。 このような場合、眼科手術や点眼薬で眼圧を下げても緑内障は進行する。実際に眼圧が15〜20mmHgの十数名を伝統医学的診断に基づいて24〜32種類の生薬の煎じ液で治療したところ90%の患者で、数ヶ月〜一年間治療を継続すると通常は悪化し続けるはずの視野検査がMD値で10〜20%程度改善してきます。しかるにこの間、治療後も眼圧は下がらず変化なしなのである。 http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ene.13094/epdf p718
日本人の緑内障の大多数を占める正常眼圧緑内障は眼圧上昇による病気ではない、従って、眼科の手術や点眼薬で眼圧を下げても治療できる病気ではないことがわかった。しかし、漢方治療が有効であるといっても、緑内障に効くと言われている漢方方剤の五苓散やooo湯で緑内障が治るということではない。ある人は漢方医のところで、oo湯とoo丸を処方されたが効果がはっきりしないと言ってきた。効かない理由は同じ緑内障でも個々人で原因が異なるからである。あるヒトは血流減少、あるヒトは視神経毒など、臓器のシステム異常は異なるからである。それぞれのシステム異常に対応した生薬を組み合わせてカスタムメイドの生薬処法を作成することで初めて緑内障に有効な治療になると言うことである。既成の漢方方剤では効果は期待できない。実際、伝統医学のシステム理論と生薬の高度な知識が無ければ、システム異常の正確な診断もできないし、緑内障に有効な生薬治療の処方を作成することもできない。http://okabesystemsmed.com