2016年10月9日日曜日

多系統萎縮症(脊髄小脳変性症)は胃腸の薬、高血圧の薬や鎮痛剤など様々な薬剤で悪化する。

ここ十年にわたって脊髄小脳変性症の治療を行ってきたが、伝統医学の治療によりせっかく症状の改善が見られたのに、 内科や整形外科、心療内科で胃腸薬、高血圧の薬や鎮痛剤、抗精神病薬などを処方されて症状が悪化してしまうケースが少なくなく困っている。 脊髄小脳変性症の中でも特にパーキンソン症候群を引き起こす多系統萎縮症の場合、錐体外路症状の悪化が甚だしく、薬をやめてもなかなか回復しない。この病気は薬剤性パーキンソン症候群とよばれる。これらの薬物がパーキンソン症候群を引き起こすメカニズムは当該薬物が ドーパミンを遮断する為、多系統萎縮症でみられるパーキンソン症候群を悪化させるということである。抗精神病薬ではセレネース(ハロペリドール)、コントミン(クロールプロマジン) 、ヒルナミン(レボメプロマジン)、 フルデカシンやフルメジン(フルフェナジン)、トリラホンやピーゼットシー(ペルフェナジン)などは、ドーパミン遮断作用が強力で、薬剤性パーキンソン症候群を生じやすい。ジプレキサ(オランザピン)、リスパダール(リスペリドン)、セロクエル(クエチアピン)も同様である。胃腸薬であるとともに抗鬱剤でもあるドグマチール、アビリット、ミラドールなども錐体外路症状を起こす。抗鬱剤トフラニール(イミプラミン)、トリプタノール(アミトリプチリン)、アモキサン(アモキサピン)、ルジオミール、マプロミール、ノイオミールなど(マプロチリン)、テトラミド(ミアンセリン)、パキシル(パロキセチン)、ルボックス、デプロメール(フルボキサミン)、トレドミン(ミルナシプラン)、サインバルタ(デユロキセチン)なども同様に錐体外路症状を引き起こす。抗精神病薬以外にも、消化管蠕動促進薬であるナウゼリン(ドンペリドン)やプリンペラン、プラミール(メトクロプラミド)、胃酸分泌抑制薬であるガスター(ファモチジン)やザンタック(ラニチジン)などの抗ヒスタミンH2受容体阻害剤、サンディミュン(シクロスポリン)、リューマトレックス(メトトレキセート)などの免疫抑制薬、インターフェロンα、一部の抗生物質、リーマス(炭酸リチウム)でも同様の症状が生じることが知られています。アポプロン、ベハイド(レセルピン)は中枢性血圧降下薬であるがパーキンソン症候群を起こしやすい。頻度は少ないが血圧降下剤ではアルドメット(メチルドーパ)、アダラート(ニフェジピン)、ヘルベッサー(ジルチアゼム)、カルスロット(マニジピン)、ノルバスク、アムロジン(アムロジピン)なども報告されている。抗不整脈薬ワソラン(ベラパミール)、アスペノン(アプリンジン)、アンカロン(アミオダロン)でも同様の報告がある。 また、麻薬性鎮痛剤 トラマール(トラマドール)や、最近、整形外科などでよく処方されるリリカ(ブレガバリン)という鎮痛剤もふらつきやめまいが頻繁に起きます。 これらは薬剤性パーキンンソン症候群と呼ばれており、脊髄小脳変性症の場合は服用は厳禁です。 服用後数日から数週間で発症することが多く、パーキンソン病よりも進行が早い。パーキンソン病と異なり左右対称性に症状が発現する傾向があり女性・高齢者で起こりやすい。 

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