2016年10月30日日曜日

サルコイドーシスの漢方治療(Herbal therapy for sarcoidosis)

サルコイドーシス(sarcoidosis)は、肺、リンパ節、皮膚、眼、心臓、筋肉など全身諸臓器に肉芽種ができる難病で、原因不明の現在は根治療法はない。臓器障害が重症の場合や生命に関わる症例(中枢神経病変、心病変等、腎病変))に限ってステロイド治療が現在行われている。しかし長期間のステロイド服用は副作用が強くてできないので効果があった時点で減量・中止する必要があるが、ステロイドの減量で再発する場合も多く治療に難渋する。 最近、全身倦怠感、空咳、微熱、下肢に力が入らないなどの症状と共に、霧視、飛蚊症、眼圧上昇などサルコイドーシスによるブドウ膜炎の症状で、中年の女性が漢方治療を希望して漢方内科外来に来院した。 サルコイドーシスの肉芽種のマーカーである血清ACEは非常に高い。詳細な伝統医学的鑑別診断を行い、それに基づいて25種類の植物性及び動物性生薬を組み合わせた処方を作成した。この処方を服用してから1ヶ月後には血清ACEが低下し、2ヶ月後には微熱や空咳なども消失した。3ヶ月後には下肢に力が入らない、全身倦怠感など自覚症状も消失し、眼圧も低下し、ぶどう膜炎も軽快していた。話は違うが原因がサルコイドーシス以外の場合の緑内障による眼圧上昇にも漢方治療が有効である場合が多い。サルコイドーシスが治癒するか否かは更に治療を継続して今後の経過を観察する必要があるが、少なくともステロイド治療以外にサルコイドーシスの治療法があることが明らかになった。 

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